コムアイのインスタグラム(kom_i_jp) - 12月30日 03時39分
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いちばんの観客
しし踊りについての考察メモ✍️
(長いしマニアックだし勝手な連想ですがお暇だったら読んでください!)
太刀の踊りをするということは
荒ぶる“しし”を一番近くで観られるということでもある🥺
人間の力の及ばない存在に間近で向き合える幸せといったら、、!
山の中でこういう獣の目に至近距離で射抜かれたならば、次の瞬間に死んでいるはずだもの!
人間は、自然から生まれ、臍の緒を絶たれてしまったように感じているのではないだろうか
産みの親である自然環境、獣の世界、命の源から、離れてしまって、でもそこから来たことは知っているから、どうにか臍の緒をたぐり寄せるようにして、身体に眠る秘密を探ったり、演出をしたり、山へ入ったりと、芸能や修験道が育ってきたと思う
ししの正体とはなにものだろう
現実の鹿や牛から純粋に発想したとは思えないような異様な形相
ちなみにオスとメスでは目の鋭さがちがって、これはメスのししで、これでも優しい目をしている方なんだそう。。
11月に遠野で観た時は、白いカンナガラが長い白髪のように見えて、そしてその顔つきから、バリの”バロンとランダ”の魔女ランダを思い出していた。
あの意匠が海の向こうから来たと主張したいわけではなくて、ランダとししを比較するのが面白いと思った。
聖獣バロンの方が獅子だし似ていそうだけど、人間の味方だし、実際にしし頭を振り回して踊っているのをみると、勝手な印象では白髪の魔女って感じがしたんだよなあ。カンナガラがバサバサっと身体の動きに遅れてついてくる様が何かを宿している気がとてもした!!
木を削ったものでは、アイヌのイナウを思い出す。カムイ(神)ごとに違ったデザインのものを捧げる。前々から作るんじゃなくて、カムイノミの直前に作るんだって聞いたのを思い出しながら、遠野しし踊りでは、お祭りの時に新しいカンナガラに替えるんだって話を聞いていた。
削りたてのもの、まっしろできれいだろうなあ。
神道で紙が使われている御幣も、木を削ったものから変化したんだろうしね。
山のエッセンスをそこに抽出しているみたい。
しし踊りを屋内でやると、そこらじゅうにカンナガラが散らばって大変だ。土の上なら何の問題もないのだけど。それでそのかけらを拾いながら、あの異様な山の神が落としていった髪の毛のようなもの、これには霊力が宿っていると村人は感じるのではないか?と思ったら、やはりお祭りの時には拾って持って帰ってお守りにするらしい。ひどい時は観客がしし頭からぶちっと引き抜くこともあるとか。笑
このバサバサっという音でもう一つ思い出したのは、久高島や与那国島で、御嶽や遺跡のような土地の人たちから大事にされている場所で、風に揺らされていたクバの葉の摩擦する音。目を瞑り手を合わせてお詣りしていると、頭上でバサバサーっと音がして、見上げると一枚が1mはあるクバの葉の先が折れて、手招きするように揺れている。それが空にシルエットになっていて、、というのがぞわぞわする瞬間だ。
ししは四つ足の獣の象徴というけれど、もっと自然全体、人間のコントロールできない世界の象徴であるような気がする。
魔女のランダは疫病を流行らせるから恐れられているが、ししも、ただ獣の供養というより、わからないものへの恐れ、を表現しているように感じる。
ランダは鬼子母神と同一視されたりするけど、山姥の方が、より自然の霊力を後ろに背負っている白髪の魔女、という感じがするなあ。
ランダが主役のチャロナラン劇というものがあるらしく(ぜひとも現地で観てみたいのだけど!)、バロンとランダが陽と陰で戦いを繰り広げた末どうなるかというと、決着がつかない、陰陽の拮抗が取れている、ということで終わるらしい。。
バリ人おそるべし。
遠野しし踊りはどうだろうと思った時、刀がけという一対一でししと人間が闘う踊りの時は、互いが攻めたり攻められたりしながら、人間の方が少しずつ後ずさりする形だ。
これは現実世界で人間が暴威をふるっていることの罪の意識から、踊りの世界では逆で表現することでバランスをとろうとしたのだろうか。
ところで、日本に限らず、怪しい、気味の悪い、けがらわしい、地位の低い、とされているものが祭りの時だけ逆の立場になるというような芸能が好きだ。
聖者だけを崇めるのではなくて、悪魔を祀り、演じることで鎮めようとするような。
南インドで観たものとか、猿楽をやっていた人たちとか、、人々からおそれられている、神おろしや芸能をやる芸能民本人たちが、同時に蔑まれてもいる、というようなことも興味深く、着目してもっと歴史を勉強していきたいところです!
写真 @mitamuraryo
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2021/12/30