コムアイのインスタグラム(kom_i_jp) - 12月26日 04時04分


永遠を生きる しおれる花

淳夫くん @atsuokanze の井筒の余韻、すごかった。

フライヤーの水彩の絵みたいに、しおれて溶けて消えていく夢の花びら、その残り香がずっと続いているような。

笛に導かれて
キリ舞(終盤の舞)での佇まいが、神がかりの女みたいに見えた。
もしくは心の宿った人形が舞っているように見えた。
面をつけた人間が、人を模した人形に見えるというのは変な話だけど😂

身体をすっかり役に貸し出してしまっているようなかんじ。能楽師の身体は面と役のための供物のようだね。

だから佇まいが、うわっと、何かに出逢ってしまったような、こちらを観ているだけで鳥肌が立つような存在感があったのだろうか。

能にひときわ惹かれる点は、この世のものでないものが舞台の上に”在る””出現する”という表現に特化しているところだ。

そもそもこの女は紀有常の娘の霊なんだから、幽霊が神がかりの女に見えたって感想として意味不明なんだけど、彼女が愛していた男、在原業平の魂をたしかに身体に宿した女に見えた。顔の上を男と女とが滲んで1秒に何回も浮き出たり沈んだり、入れ替わっているようだった。淳夫くんの声も高いような低いような声だから、男と女が二重でしゃべっているような感じにも受け取れた。

在原業平の魂が乗り移った
紀有常の娘(二人ともとっくに死んでいる)
の幽霊が人形に取り憑いているように見えて
その人形は淳夫くんで、、
性別も時間も、生きているものと死んでいるものとが、グワングワンになるね。

それをひねりない静かなムードかのように仕上げてるのが世阿弥おそろし!

女がクライマックスで井筒を覗くときは、やっぱり時空が歪むというか、前もそうだったけど、目の焦点が合わなくなる。
亡き夫の形見の服を着ている幽霊が、水鏡に映した自分の姿を観て、懐かしや、と懐かしむシーン。
二人が幼馴染として遊び回っていた井戸で。

最近どちらかで出逢ったおねえさまに、終わった恋愛の暴露する人がいるでしょ〜そんなことしちゃ絶対ダメよ、自分の思い出も傷つけてしまうことになるのよ!と言われたのを思い出した。笑

過去の美しい思い出に浸っている女(と男)の姿は、それで満ち足りていて、懐かしや、と言いながらも、今もその美しい瞬間をまさに生きている、という永遠性もあって、井筒を覗き込んでいるとき、時空の筒を覗いているようなんだよなあ。

筒井筒、と回文になっているところもなんかこの謡曲のぐるぐるした世界観に招かれる呪文のようだ。

展開がこれだけ地味なのにSFなんだよなあ、能は、ほんとにすごい。

こんどは物着という小書き(演出のバリエーション)の井筒が観てみたいなあ!囃子方の演奏があって、舞台上で形見の男装束をつけるみたい!

📸駒井壮介さん
画像は許可をいただき載せさせていただきました。
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2021/12/26

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