立教大学のインスタグラム(rikkyouniv) - 3月24日 10時17分


【ニュース】
希少金属を使用しないCO2変換法を開発
—カーボンニュートラル実現に期待—

神戸大学理学研究科の松原亮介准教授、分子フォトサイエンス研究センターの小堀康博教授、立教大学理学部の山中正浩教授の共同研究チームは、希少金属 注1)を使用せずにCO2からギ酸 注2)を製造する方法を開発しました。

地球温暖化ガスの一つであるCO2の大気中濃度の増加が社会問題化しています。さらに、人類活動に欠かせない化石燃料(石油や天然ガスなど)の枯渇は、近い将来必ず訪れるといわれています。この二つの課題を同時に解決する一石二鳥の手法として、太陽光を用いてCO2を化石燃料またはそれに準ずるものに化学変換する方法、いわゆる人工光合成が有望視されており、現在世界中でその研究が進められています。しかしながら、報告されるほとんどの方法では希少金属の使用が必須であり、地球規模の大きなスケールで行うには大きなハードルが残されていました。
今回松原准教授らは、希少金属を含まない触媒系注3)を新たに創製し、室温、一気圧のCO2雰囲気という穏和な条件で、CO2をギ酸に変換できる光化学反応を開発しました。この反応では外部からのエネルギーとして電気エネルギーを注入する必要はなく、太陽光のみで反応が進行します。
今後は、今回の反応では必須であった犠牲還元剤注4)を用いなくてもよい触媒系や、メタンやメタノールなどギ酸以外の炭素燃料を製造する反応の開発を行っていく予定です。
本研究成果は令和5年3月23日(木)16時(英国時間。日本時間:3月24日(金)午前1時)に英国Nature Publishing GroupのNature Chemistryのオンライン速報版で公開されます。

ポイント
希少な金属を用いずにCO2をギ酸に変換する光化学反応を開発
地球温暖化ガスの減少と化石燃料の製造を同時に達成する一石二鳥反応の実用化に期待

研究の背景と経緯
植物の光合成を担う酵素は、太陽光を用いてCO2を糖(グルコース)に変換するという、反応開発の科学者から見ると神がかった機能を持つ触媒といえます。光合成により長年地球の大気環境は一定に保たれてきたのですが、人類文明の急速な発展により、植物が持つ恒常化効果を人類活動(CO2排出と化石燃料の消費)が上回るようになりました。そのため、人工光合成の開発が人類の存続には不可欠な状況となり、世界中で研究が行われています。その研究の中で、金属元素、特に地殻にわずかしか存在しない希少金属が高い触媒活性を持つことがわかってきました。しかし、希少であるが故に地球規模の大きなスケールへ実用展開することが難しいという問題があります。

これまで松原准教授らは、高い還元力(電子を他の分子に与える力)を有する非金属光増感剤注5)の研究を行ってきました。最近では、分子構造を修飾することにより、紫外光よりもエネルギーの低い可視光を照射することでも高い還元力を獲得できる非金属光増感剤を開発しています。これにより、可視光成分を主成分とする太陽光をそのまま利用できる光反応が実現可能となりました。

本研究では、これまでの光増感剤に加えてさらに別の非金属触媒を併用することで、可視光照射下でのCO2光還元を達成しました。

研究の内容
触媒系の構築:CO2をギ酸にするためには、CO2に電子を与える、すなわち還元する必要があります。しかしCO2は非常に安定な分子であり、還元するのは容易ではありません。今回我々は、カルバゾール1を光増感剤として新たに創製し、この分子が可視光照射下で極めて高い還元力を獲得することを明らかにしました(図1)。この光増感剤だけではCO2光還元反応(ギ酸生成反応)の効率は低くとどまりましたが、ここに非金属触媒2を添加するとギ酸の生成速度が劇的に向上することを発見しました。最適化された条件においては、一分子のカルバゾール1からギ酸を6500分子以上も生成できることが分かり、優れた触媒系が構築できたと言えます。

反応機構の解明:開発したCO2光還元反応の機構解明の研究を行いました。

https://www.rikkyo.ac.jp/news/2023/03/mknpps0000025we4.html


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2023/3/24

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