もう何年も前の事だ。 撮影終わりに出会ったおじさん。 おじさんは公園に住んでいた。 日が暮れるのを忘れて、色々な話しをした。神父だったおじさんはボロボロの聖書を大事そうに持っていた。どれだけ読んだらこんなになるのだろう。聖書は歩んだ時間を感じさせてくれるものだった。 おじさんはいつも寂しそうな目をしていた。 ただ、口癖のように言っていたのは「大丈夫。大丈夫だよ」その言葉はふと安心感を与えてくれる力強いものだった。 毎週のようにその公園に足を運ぶようになった。おじさんはある日、写真を撮ってくれないかと言った。 その日に撮った写真を、暗室でプリントしおじさんにプレゼントした。おじさんは涙を流し、とても喜んでくれた。 その翌週。公園に行くとおじさんの姿はなかった。 何度も日を変えておじさんに会いに公園に足を運んだが、あの日からおじさんには会えないでいる。 いつかおじさんは夢を話してくれた。何十年も会えていない娘さんに会いに行きたいと。いつになっても大切な人。会いたい人。会えることだけが夢だと話すおじさんの気持ち。 おじさんはクリスマスを楽しみにしていた。あの日から沢山の月日が流れた。 おじさん、あなたとの出会いをふと思い出します。 公園の横を通ると、今でも聞こえてきます。「大丈夫、大丈夫。」と。 とても大切な出会いだった。

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大杉隼平のインスタグラム(shumpeiohsugi_photographer) - 10月27日 21時54分


もう何年も前の事だ。
撮影終わりに出会ったおじさん。

おじさんは公園に住んでいた。
日が暮れるのを忘れて、色々な話しをした。神父だったおじさんはボロボロの聖書を大事そうに持っていた。どれだけ読んだらこんなになるのだろう。聖書は歩んだ時間を感じさせてくれるものだった。

おじさんはいつも寂しそうな目をしていた。

ただ、口癖のように言っていたのは「大丈夫。大丈夫だよ」その言葉はふと安心感を与えてくれる力強いものだった。

毎週のようにその公園に足を運ぶようになった。おじさんはある日、写真を撮ってくれないかと言った。
その日に撮った写真を、暗室でプリントしおじさんにプレゼントした。おじさんは涙を流し、とても喜んでくれた。

その翌週。公園に行くとおじさんの姿はなかった。
何度も日を変えておじさんに会いに公園に足を運んだが、あの日からおじさんには会えないでいる。

いつかおじさんは夢を話してくれた。何十年も会えていない娘さんに会いに行きたいと。いつになっても大切な人。会いたい人。会えることだけが夢だと話すおじさんの気持ち。

おじさんはクリスマスを楽しみにしていた。あの日から沢山の月日が流れた。

おじさん、あなたとの出会いをふと思い出します。

公園の横を通ると、今でも聞こえてきます。「大丈夫、大丈夫。」と。

とても大切な出会いだった。


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2018/10/27

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