石川直樹のインスタグラム(straightree8848) - 10月4日 10時44分


For Himalayas⑬ The summit of #ChoOyu, Oct 2nd 2023.
今回のチョオユー登頂に関して、正確に書く。昨日のポストでは、C1からサミットプッシュに入った、と書いたが、それより低い標高5700mのABCから一気に登った、としたほうが正しい。
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ABCを朝9時に出て、標高6400mのC1に着いたのが17時ごろ、C1で3時間程度の仮眠(と言っても色々やることもあって15分くらい居眠りして悪夢で目覚めた程度)、20時くらいからサミットプッシュに入った。
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今回のチョオユーには中国の科学者たちによる大規模な研究隊が入っていて、ぼくたちが登頂した前日10月1日に18人の登頂者を出した。10月1日は最高の天気で、この天候がギリギリもつと思われた10月2日早朝までに、ぼくたちも登頂したかった。
夜通し登り詰めて、夜明け頃に頂上直下のイエローバンドを通過、あたりが完全に明るくなってから、頂上プラトーの入口に着いた。問題はここからだ。
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チョオユーの頂があるプラトーはむちゃ広い。20年くらい前は、たくさんの日本人がチョオユーに登った。(今はマナスルが8000m峰入門の山のような扱いだが、マナスルにFixロープが張られるようになる前は、多くの人がチョオユーで練習してエベレストに向かった。そんな時代があったのだ)。
チョオユーの山頂はわかりにくいため、このプラトー上のどこかで、後ろにエベレストを入れて写真を撮れば、それで登頂、と見なされていた。しかし、今回は間違いなく最高点に立ちたかった。
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話を戻す。頂上プラトーの入口に到達前から天候が悪化し、風が強まってホワイトアウトになった。
ぼくとシェルパのニマヌルは、隊のトップだった。その日は、ニムスことニルマルプルジャ率いるエリートエクスペディション隊と、ぼくたちイマジンネパール隊しかおらず、その中でも一番早く頂上プラトーに到達したのが、自分とニマヌルだった。
が、ホワイトアウト状態のプラトーに入るとお手上げになった。どこが頂上なのかわからない。Fixロープなんて当然ないし、トレースもない。
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シェルパのダワジャンブーが一度チョオユーに登頂したことがあるので、彼が頂を探しに行ったが、20m程度登って引き返してきた。この天候ではわかるはずがない。
しばらく経って、ニルマルプルジャがやってきた。「おい、おまえらどうした?」と聞かれて「頂上がわからない」と答えた。エリート隊のシェルパも、ニムスの指示でプラトーに上がったが、為す術もなく戻ってきた。
ニムスがGPSを出して、座標を測り始めた。こういうときのニムスはマジで頼りになる。SNSのフォロワー200万人越え、常に賛否両論を巻き起こすキングクライマーは、酸素ボンベを使わずにここまで登ってきたのに冷静だ。
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イマジン隊のリーダー、ミンマGも無酸素だったが、彼ははるか下にいた。ぼくたちはミンマに無線で連絡をとり、状況を話した。いろいろやりとりをした末に、ミンマが「降りろ」という。「登頂をあきらめて下山だ」と。自分がリーダーだったら、そう言うしかなかったと思う。風は強くなるばかりで、指を動かし続けないと、あと少しで凍傷になる。でも、自分は諦めきれなかった。8201mの頂は目と鼻の先。カンチェンジュンガの頂を間違えた最悪の記憶が蘇る。
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ニムスはGPSを見ながら「おれに任せろ。行ける」という。彼もまた無酸素14座まであと2座で、チョオユー撤退という選択肢は、ありえなかったのだろう。
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長くなりすぎた。ここから先は『新潮』の連載に書く。とにかくぼくたちはニルマルプルジャに救われた。彼がいなければ絶対に登頂できなかった。最高点には、中国隊が前日に設置した気象観測機器があった。
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ABCに帰り着いたのは23時30分だった。うっすら雪をかぶった石の上で何度も転び、足をひねった。これ以上ないほどボロボロになった。
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まとめる。10月1日朝9時にABCを出て、夕方C1で3時間休息、夜通し登って10月2日14時40分登頂、23時30分ABC帰着。24時間行動どころじゃない。狂ってるチョオユー遠征が終わった。登山中、何度もえづいた。胃には何もないから吐かなかった。ティンリーに戻って夕食食べたら即座に下痢。今は全身が痛い。
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今まで登った13座の中で、間違いなく一番きつかった。(ニルマルプルジャが昨日アップしたリールに、自分が映ってます。感極まって、ニマヌルと顔をくっつけて泣いてる😅)
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#ChoOyu#tibet#himalayas


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2023/10/4

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