上野樹里さんのインスタグラム写真 - (上野樹里Instagram)「この度、番組のナレーションをさせていただきました。  番組の中で感じた事の感想です。  『最後の状況を知りたいと願うご遺族が、約7割いらっしゃるという事実に、突然奪われた命をどう受け止めて生きていけば良いのか、その難しさや複雑な思いを感じました。大切な方との最後を有耶無耶にしない事は時に悲しみと対峙するという事。簡単なことではないと思います。今も生前の記憶と寄り添いながら過ごしている中で、街の人々が協力し合い乗り越えた10年。その熱意と思いやりの深さがあって時はようやく流れるのだと思いました。生きぬく力と人々の繋がりの強さを改めて学びました。』  ぜひ番組をご覧ください📺  今思うこと  震災から10年。 10年と聞くと、長い年月が経ったように聞こえますが、あっという間でした。 震災当時、私は大河ドラマを撮影していました。 生存確認の安否もままならない報道を目にしながら、涙が止まらない。 震災の翌日に入っていたCM撮影を本当にやるのか、いや、そんな気持ちになれない。 ライフラインも混線して、連絡が取れないまま明日になった。 撮影スタジオまで行ったものの、撮影が無しになり、ほっとしたのを覚えている。 東京にいる私達も、その災害の大きさをひしひしと感じていた。  ドラマでは、大量の電力や水を使う。  「今、電気も付かず、水も飲めず、お腹を空かせて凍えている人が沢山いるのに…」  豪華な衣装を身に纏い、台詞を覚えて、お芝居をすることが、本当に辛かった。 それは、リアルな世界では何の役にも立たない。そう思った。  応援してくださるファンの方から、 『先週まで一緒にドラマを観ていた母が見つかりません。テレビも流されてしまいました。 続きが見ることが出来ないけど、がんばって!』 そんな声を聞いた時に、心から悲しかった。  その時、私の仕事は当たり前のような日常の上に成り立っていると気づいた。  今、眠ることさえ出来ず、生と死が隣り合わせの中で、頑張っている人達がいる。 ドラマの中の戦国時代の中で生と死が隣り合わせだというお話を、現実と重ねて捉えることが出来なかった。  フィクションの中で、人の心に響くお芝居をする以前に、 「この現実世界で、観てくれて、 温かい心で応援してくれている人達が今、生きているかもわからないなら、 嘆き悲しんでいるなら、彷徨っているかもしれないなら、届けようがないじゃないか。」 そんな気持ちで、いっぱいでした。  でも、先輩の俳優である岸谷五朗さんに、 「普通に今働ける人は前へ進まなきゃ。 もし放棄して、みんなで立ち止まってしまったら、日本がもっと大変になってしまう。 今、目の前に、与えられた物事をしっかりと勤めるように。」 と、アドバイスをいただきました。  当時私は、客観性を持って今の状況に対応できていない事に気づかされました。 それから、今の私の立場を最大限に活かす事を考えました。 NHKホールや全国の施設を使わせてもらえないだろうか。 そこで毎週末に、募金活動をして、私のような思いの方達とたくさん出会い、協力し合えないだろうか。遺体安置所に、子供たちへ、絵本の読み聞かせに行けないだろうか?移動図書館の車で、明るくたのしい曲を流せないだろうか。様々な本を借りにやって来る子供たちを想像しながら、作詞作曲し、明るい声で歌ったCDを届けたりした。 そうして様々な人々の協力のもと、力を合わせて自分が今できる精一杯の支援の形ができたように思う。  そして震災から10年経った今。  何かのご縁で、一昨年から監察医朝顔というドラマの中で、震災で母を亡くした主人公の朝顔を演じています。 コロナによって時期がずれた事もあり、当初の予定とは異なり、震災から10年という節目を迎えながら放送することに...。 それに伴い、脚本にも色々な変化があり、朝顔の母の骨が、見つかるという流れになりました。 ドラマを観てくださる皆さんと、いろんな思いを共有する上で、それが一番いいという判断になりました。ドラマの中だからこそ、出来ることもあるんだと知りました。私は自分のお仕事を通して、沢山の人々の心を紡ぐお手伝いができたのかなと思えました。 ようやく少し、私の心が和らいだように思います。本当に有難いです。 そして今。 たくさんの人達が、色々なところから、いろいろな思いで、東北の街を訪れる未来を想像しています。 そんな温かい光景を心の中で描きながら今、再び東北の街を訪れる事が出来る日を、待ちわびています。  いつどんなことが起こるかわからないからこそ、今を大切に。  そして、どんなことが起こっても私たちは、 悲しみや、苦しみを分かち合い、 希望の光を互いに灯し、前へ進んでいけると信じています。  上野樹里」3月11日 12時09分 - _juri_art_

上野樹里のインスタグラム(_juri_art_) - 3月11日 12時09分


この度、番組のナレーションをさせていただきました。

番組の中で感じた事の感想です。

『最後の状況を知りたいと願うご遺族が、約7割いらっしゃるという事実に、突然奪われた命をどう受け止めて生きていけば良いのか、その難しさや複雑な思いを感じました。大切な方との最後を有耶無耶にしない事は時に悲しみと対峙するという事。簡単なことではないと思います。今も生前の記憶と寄り添いながら過ごしている中で、街の人々が協力し合い乗り越えた10年。その熱意と思いやりの深さがあって時はようやく流れるのだと思いました。生きぬく力と人々の繋がりの強さを改めて学びました。』

ぜひ番組をご覧ください📺

今思うこと

震災から10年。
10年と聞くと、長い年月が経ったように聞こえますが、あっという間でした。
震災当時、私は大河ドラマを撮影していました。
生存確認の安否もままならない報道を目にしながら、涙が止まらない。
震災の翌日に入っていたCM撮影を本当にやるのか、いや、そんな気持ちになれない。
ライフラインも混線して、連絡が取れないまま明日になった。
撮影スタジオまで行ったものの、撮影が無しになり、ほっとしたのを覚えている。
東京にいる私達も、その災害の大きさをひしひしと感じていた。

ドラマでは、大量の電力や水を使う。

「今、電気も付かず、水も飲めず、お腹を空かせて凍えている人が沢山いるのに…」

豪華な衣装を身に纏い、台詞を覚えて、お芝居をすることが、本当に辛かった。
それは、リアルな世界では何の役にも立たない。そう思った。

応援してくださるファンの方から、
『先週まで一緒にドラマを観ていた母が見つかりません。テレビも流されてしまいました。
続きが見ることが出来ないけど、がんばって!』
そんな声を聞いた時に、心から悲しかった。

その時、私の仕事は当たり前のような日常の上に成り立っていると気づいた。

今、眠ることさえ出来ず、生と死が隣り合わせの中で、頑張っている人達がいる。
ドラマの中の戦国時代の中で生と死が隣り合わせだというお話を、現実と重ねて捉えることが出来なかった。

フィクションの中で、人の心に響くお芝居をする以前に、
「この現実世界で、観てくれて、
温かい心で応援してくれている人達が今、生きているかもわからないなら、
嘆き悲しんでいるなら、彷徨っているかもしれないなら、届けようがないじゃないか。」
そんな気持ちで、いっぱいでした。

でも、先輩の俳優である岸谷五朗さんに、
「普通に今働ける人は前へ進まなきゃ。
もし放棄して、みんなで立ち止まってしまったら、日本がもっと大変になってしまう。
今、目の前に、与えられた物事をしっかりと勤めるように。」
と、アドバイスをいただきました。

当時私は、客観性を持って今の状況に対応できていない事に気づかされました。
それから、今の私の立場を最大限に活かす事を考えました。
NHKホールや全国の施設を使わせてもらえないだろうか。
そこで毎週末に、募金活動をして、私のような思いの方達とたくさん出会い、協力し合えないだろうか。遺体安置所に、子供たちへ、絵本の読み聞かせに行けないだろうか?移動図書館の車で、明るくたのしい曲を流せないだろうか。様々な本を借りにやって来る子供たちを想像しながら、作詞作曲し、明るい声で歌ったCDを届けたりした。
そうして様々な人々の協力のもと、力を合わせて自分が今できる精一杯の支援の形ができたように思う。

そして震災から10年経った今。

何かのご縁で、一昨年から監察医朝顔というドラマの中で、震災で母を亡くした主人公の朝顔を演じています。
コロナによって時期がずれた事もあり、当初の予定とは異なり、震災から10年という節目を迎えながら放送することに...。
それに伴い、脚本にも色々な変化があり、朝顔の母の骨が、見つかるという流れになりました。
ドラマを観てくださる皆さんと、いろんな思いを共有する上で、それが一番いいという判断になりました。ドラマの中だからこそ、出来ることもあるんだと知りました。私は自分のお仕事を通して、沢山の人々の心を紡ぐお手伝いができたのかなと思えました。
ようやく少し、私の心が和らいだように思います。本当に有難いです。
そして今。
たくさんの人達が、色々なところから、いろいろな思いで、東北の街を訪れる未来を想像しています。
そんな温かい光景を心の中で描きながら今、再び東北の街を訪れる事が出来る日を、待ちわびています。

いつどんなことが起こるかわからないからこそ、今を大切に。

そして、どんなことが起こっても私たちは、
悲しみや、苦しみを分かち合い、
希望の光を互いに灯し、前へ進んでいけると信じています。

上野樹里


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2021/3/11

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