ブルボン小林のインスタグラム(bourbon_kobayashi) - 1月8日 22時56分


【発売中】『今も未来も変わらない』婦人公論連載時の丹羽庭さんによる挿画。
1枚目、第3話「丸ーくなってます」より。2枚目、第4話「探しものがあるのではなく」より。

「歌とレジャー(の現場)だけで筋を進める」コンセプトの小説で、1話がスーパー銭湯、2話がカラオケときて、3話が映画館になった。
映画もまた「レジャー」の一つだから、というつもりだったのだが、いざ書いてみると、映画館での映画についてだけ、カラオケやらゲームセンターとはまるで異なることを書く感覚があった。
「映画館で映画を観る」ことは厳密には娯楽ではないというか。
娯楽だが、「時間だけを生きる」という感じがある(書いてて思った)。

特に3話で描いた映画館のトラブルは、僕自身が2度も遭遇した実体験が着想になっているのだが、それ自体がこの小説の中で異質な時間になっている(じゃっかん、ここの描写が念入りで、退屈なはず)。

そもそも、いろんな映画の、始まったときにみる「制作会社のロゴから主演、スタッフなどの名前が次々でてくる」あのとき、「自分は映画をみているのだろうか」。

もちろん、スタッフの名前が出ていても同時に主人公たちが動いたりして「映画」も始まってはいる。

でもそれが無音だったときの、「あれ」は「なんの」時間に区分されるんだろう。

3話のトラブルの場面は独立した短編に用いてもよいと思っていたし、長編小説の冒頭に、とも思っていたのだが、ここで冒頭を飾らなかったのは、面白い瞬間になるまでの描写が地味で、エンタメ雑誌の連載小説の初回のドライブがかからないと判断したのである(「街はきらめく〜」の話題のほうが、それこそ映画のopぽく人を引き付けるであろう)。

でも、まるまるボツにもしなかった。
レジャーの小説が「時間」の小説になったのは、このときこの場面を採用したからだなあ、と、これは後で思ったこと。

#今も未来も変わらない #丹羽庭 #長嶋有


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2021/1/8

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